2025年7月4日より、WOWが展覧会ディレクターを務める「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」が21_21 DESIGN SIGHTにて開催されます。 自然の力が脅威となり、生活インフラや社会システムが突如機能しなくなる—。当たり前に送っていた日常が失われる「そのとき」は、なんの前触れもなく、平穏な日常のさなかに訪れます。その瞬間、私たちは何を考え、どう行動するのでしょうか。多くの人にとって、「そのとき」を想像して未来に備えることは難しいかもしれません。仙台に拠点を持ち、震災を経験した私たちWOWにとっても、「そのとき」を常に意識しながら生活をすることは難しく感じる時があります。 しかし、災害大国と呼ばれる日本では、いつ、どこで、誰が「そのとき」に直面しても、おかしくありません。災害の種類、頻度、規模がたえず変化する中、「そのとき」は未来の特定の時点・場所・人を指すのではく、むしろ私たちの日常生活と意識の中に多次元的に偏在し、向き合い方も多様になっていると考えられるのではないでしょうか。 本展では、災害に関する幅広い問いが来場者を迎えます。正解のある問いもあれば、人によって答えが変わるものもあります。自ら思考し多様な考えと出会うことで、さまざまな可能性に対峙する。その経験が、いつか訪れるかもしれない「そのとき」への静かな備えとなり、困難をしなやかに乗り越えるための支えとなる—。私たちが災害にどう向き合っていくのかを一望する場所、「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」にぜひご期待ください。
展示のみどころ WOWは、感性にはたらきかけながら思考力や想像力を誘発し、新たな視点と出会う表現を探求してきました。本展でも、災害への備えを一方向的に「情報」として届けるのではなく、防災に向き合う私たちの「意識や心のあり方」に目を向けています。来場者は会場に散りばめられたさまざまな「問い」をきっかけに、作品を鑑賞しながら自分自身の「そのとき」について主体的に考えを巡らせます。また、来場者同士がそれぞれの考えを共有できるインタラクティブな体験も提供。他者との対話の場を生むことで、災害や防災に対する意識やアクションをより多角的に見つめるきっかけづくりを試みます。 参加作家はWOWを含め22組(5月27日現在)。そもそも災害とは何かという視点から、地震や水害のデータビジュアライゼーション、災害をきっかけに生まれたプロジェクト、防災に関するプロダクト、日本各地に残る伝承、科学的な確証を超えてなお過去から伝わる願いのかたちなど、人々が直面してきた災害やそこから生まれた英知を幅広く紹介します。WOWは、展覧会の総合ディレクションに加え、来場者が自身のスマートフォンなどを通して送信した回答の一部が会場に映し出される映像作品を展示します。
展示作品 / 参加作家 ◯災害のビジュアライゼーション データビジュアライゼーション、絵画史料、グラフィックなどのさまざまな視覚表現から、日本や地球が経験してきた災害を振り返ったり、ありのままの自然や災害のシミュレーションを可視化したものから考えを広げます。 展示:越村俊一、日本経済新聞社「『地震列島』日本」、にゃんこそば、パノラマティクス+Eukarya、株式会社ヤマップ「YAMAP流域地図」、他 ◯防災意識を見つめ直すインスタレーション 災害が発生する頻度や、防災に対する構え方を見つめなおす体験型の新作インスタレーション2点を展示します。 展示:柴田大平「防災グラデーション」、siro+石川将也「そのとき、そのとき、」 ◯プロジェクト・研究・プロダクト 災害時の通信手段の断絶に対処するための斬新な研究や、スピーディーな情報発信を担うプロダクト、混乱期のその後の生活と心を支えるための取り組みや考え方、そして日常から取り入れる「備えない防災」など、さまざまなフェーズにおける取り組みやモノから、防災の「いま」と「これから」を紹介します。 展示:WOTA株式会社、KDDI株式会社、ゲヒルン株式会社「特務機関NERV防災アプリ」、中嶌 健「災害救援鳩の研究」、坂茂建築設計+ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク「避難所用・紙の間仕切りシステム」、他 ◯「そのとき」の先にある希望のかたち 災害が起きた場所の風土や人と向き合い制作された絵画、震災から生まれ世界に広がったものづくりのデザイン、「毎日災害が起こる可能性を忘れない」という意識を伝えつづける取り組みなど。災害と日常をつなぐ表現を通じて、「そのとき」の先にある希望を見つめます。 展示:佐竹真紀子「Seaside Seeds」、トラフ建築設計事務所+石巻工房「女川町仮設住宅 ベンチワークショップ」、日本郵便株式会社+寺田倉庫株式会社「防災ゆうストレージ」、バリューブックス、福島民報社、他 ◯自然や自分とのつきあい方 樹々の生態系と人間がともに歩む防災や、自らを守る最後の砦としての「服」など、普段目にするまちの防災機能とは異なる視点から、私たちを守るものについて思考します。 展示:veig「蒸庭」、津村耕佑「FINAL HOME」、他
画像左上から:veig 「蒸庭」 撮影:Hiroki Tagawa(nando inc.)、佐竹真紀子「Seaside Seeds」 写真提供:水戸芸術館現代美術センター 撮影:根本 譲、siro+石川将也「そのとき、そのとき、」、津村耕佑「FINAL HOME」、トラフ建築設計事務所+石巻工房「女川町仮設住宅 ベンチワークショップ」 、中嶌 健「災害救援鳩の研究」、日本郵便株式会社+寺田倉庫株式会社「防災ゆうストレージ」、坂茂建築設計+ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク「避難所用・紙の間仕切りシステム」、株式会社ヤマップ「YAMAP流域地図」、WOW「みんなは、どうする?」、ゲヒルン株式会社「特務機関NERV防災アプリ」、柴田大平「防災グラデーション」、日本経済新聞社「『地震列島』日本」
開催概要 タイトル:21_21 DESIGN SIGHT企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」 会期:2025年7月4日(金)– 11月3日(月・祝) 休館⽇:火曜日(9月23日は開館) 開館時間:10:00–19:00(入場は18:30まで) 入場料:一般1,600円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料 会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン 主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団 特別協賛:三井不動産株式会社 後援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会 展覧会ディレクター:WOW グラフィックデザイン:佐々木 拓、金井あき 会場構成:トラフ建築設計事務所 テキスト/企画協力:角尾 舞 学術協力:関谷直也 ▶︎ 21_21 DESIGN SIGHT
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