氷塊のなかに、怪物を求める—Roars Inside the Iceberg
“I.CEBERG” Project, TOKYO PROTOTYPE | 2026
創作や制作プロセスの価値を見つめ直す試みとして、2025年に始動したWOWのオリジナルプロジェクト「I.CEBERG(アイスバーグ)」による初展示。1月29日(木)〜31日(土)に虎ノ門ヒルズで開催された都市型クリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE」にて「氷塊のなかに、怪物を求める」と題し、5名のメゾンによる主要作品とその制作過程の物語を公開した。
氷塊のなかに、怪物を求める
01.

この世界には実在しないが、誰の心にも潜んでいる。恐れや憧れ、醜さや愛しさといった相反する感情が折り重なった、まだ言葉になってすらいないもの。それらを「怪物」と呼ぶ。I.CEBERGは、表現を通して怪物を求めるアートコレクティブだ。参加するアーティストたちは、物理・造形・コラージュなど多様なテーマを持つ「メゾン」として、デジタルとアナログ、人工と有機の境界を越える表現を探究している。 現代は怪物が一掃されていく時代だ。それは、AIが「最適解」という聞こえのいいキーワードで、葛藤や矛盾、偶然性といった“人間としての深み”を覆い隠していく状況である。そこでは、心の底に沈んでいた、こわくて、かっこよくて、ときに愛おしい怪物が消えていく。I.CEBERGが氷塊から掘り起こそうとしているのは、そうした怪物たちだ。 本展では、5名のメゾンによる主要作品と、その制作過程で生まれた個々の物語を組み合わせ、氷塊の内部をのぞき込むような体験を構成。来場者は、怪物に向き合うメゾンの旅路を追体験しながら、いつのまにか自身の内側に潜む怪物と向き合うことになるだろう。 可視と不可視、こわさと好奇心が重なりあうこの展示そのものが、I.CEBERGの求める“物語”の輪郭だ。


HIRONOBU SONE "BYPRODUCT"
02.

本作は、ルールに基づく生成プロセスの中で副次的に生まれるロボットの形を扱う。それらはエラーや例外ではなく、正しく機能したシステムの結果として現れている。設計と制御の内部に潜む偶然と歪みを、ロボットという構造体を通じて描き出す試みである。 ▶︎ Journal "BYPRODUCT"


TAKUMA SASAKI "脈動する光"
03.

目に見える美しさの奥底には、環境や他者とつながりながら、たゆたう時間を生き続ける生命の脈動がある。本作は、かつて大地に埋もれていた木の根を用いて、生命の美しさの根幹にある命の熱量を表現した作品である。根を包む衣服は、命を育む温かな土の象徴であり、守られた根は生命の鼓動を思わせる光を放つ。その柔らかな光は、やがて周囲を静かに照らし出していく。 ▶︎ Journal "脈動する光"


TAKAFUMI MATSUNAGA "FRAME"
04.

街を歩き、風景のコラージュを続ける中で、目の前の景色に対して抽象的なイメージが浮かぶようになった。本作はそのイメージを立体化し、写真から染み出したような構造物として造形することで、風景を自立させる。具象と抽象、2Dと3Dの境界を往復することで、その狭間に広がる豊かな階調を描く。 ▶︎ Journal "FRAME"


TAKESHI FUNATSU "Bio Remix"
05.

生物が持つ模様やパターンを服飾として再編集する試み。成長・分化・反復といった生物的プロセスを探索しながら、服への転用を通して自然現象へのフェチを解剖・展開していく。今作はプリミティブな形態でありながら多様な模様のバリエーションを持つ海洋生物「ウミウシ」にフォーカスして制作した。 ▶︎ Journal "Bio Remix"


RYO KITABATAKE "曖昧な花"
06.

時間と共に劣化し脚色されていく記憶の中のイメージ。モチーフとなっている花は、3Dスキャナーで実世界のオブジェクトをデジタル化する過程で生まれるノイズと誤読を増幅することで形成した。裏面のぼやけたイメージは、カスタマイズしたデジタル上のカメラを通して撮影された、歪んだそれぞれの花たち。それらを時間をかけて劣化していく金属の板へ印刷した。 ▶︎ Journal "曖昧な花"


MERCHANDISE
07.

主要作品の制作過程で生まれた立体造形や、プロジェクトの活動をまとめたマガジンを会場で販売した。 Fragments of Iceberg 氷塊の中に眠る物語を探る過程で生まれた思考の「かけら」を立体造形として50体制作。それらの造形は、まだ明確な意味を持たないが、メゾン5人それぞれの思想を色濃く反映しており、「かけら」を通して来場者と物語を共有した。 I.CEBERG MAGAZINE – ISSUE 01 (2nd edition) I.CEBERGのメゾンたちのアートワークと、グラフィックデザインスタジオ・emuni inc.とのコラボレーションによって生まれたZINE。 I.CEBERG MAGAZINE – ISSUE 02 I.CEBERGの思想をサイエンスライター・森旭彦氏が描き出し、メゾンそれぞれが自らの言葉で思想を表現したZINE。ISSUE 01とは対極的に、言葉を使ってその輪郭を表現した。


Credit
I.CEBERG Maison (Artist) : Hironobu Sone, Takuma Sasaki, Takafumi Matsunaga, Takeshi Funatsu, Ryo Kitabatake Producer : Ko Yamamoto Project Manager : Ren Ishikawa BYPRODUCT Maison : Hironobu Sone Programmer : Yuki Horikawa Project Manager / 3d Print Support : Ikumi Tabata Pulsating Light Maison : Takuma Sasaki Costume Designer : Koshiro Ebata Stylist : DAN (kelemmi) Lighting Plan & Design : Satoshi Yanagisawa (Triple Bottom Line) Lighting System & Mechanical Design : Yoshihiro Hirata (R2) Technical Support : Giichi Endo (NICHINAN GROUP) FRAME Maison : Takafumi Matsunaga Photo Print : FLATLABO Resin 3D Print : MAEDA SHELL SERVICE Styrofoam Cut & Fabrication : KIMURA FOUNDRY Paint : TAKAHAMA TOSOU Bio Remix Maison : Takeshi Funatsu Ambiguous Flowers Maison : Ryo Kitabatake Photo Print : FLATLABO I.CEBERG MAGAZINE Graphic & Editorial Design : Masashi Murakami, Tomoya Kawasaki (emuni) Exhibition Graphic Design : Masashi Murakami, Tomoya Kawasaki (emuni) Statement Writer : Akihico Mori Exhibition Design : Yoko Funahashi Set Construction : Nao Oritani Photographer / Videographer : Yuya Shiokawa Hardware & Lighting : Prism Transportation Support : BONDS




