日本の祈りの文化をテーマにしたWOWのオリジナルプロジェクト「いのりのかたち」をオンラインで公開します。本プロジェクトは、東北の伝統文化を現代的な表現で再発見するインスタレーション作品「BAKERU」や「POPPO」を発表してきたWOWが、伝統的な「祈り」とその「形」に関するフィールドワークを行い、そこで学んだ情報をもとにオリジナル作品を制作するリサーチプロジェクトです。古来、人は目に見えない物や自然現象に畏怖の念や感謝を抱き、それにさまざまな形を与え共生してきました。今も残る形の意味に目を向けると、そこからは先人の豊かな精神性が見えてきます。「いのりのかたち」は、現代を生きる私達が、日常生活の中で意識することが少なくなった伝統文化に現代的なメディア表現を通して触れることで、新たな気づきや発見を得ることを目的とするプロジェクトです。 プロジェクト背景 祈りは太古の昔から、さまざまな時代、場所で行われてきました。芸能、工芸、祭り、絵画、風習、食事、音楽、建築。人々の「祈り」は、さまざまな形を得ることで多くの人に浸透し、時を超えて受け継がれてきました。その形には、地域文化の特徴を色濃く反映したものや、時と場所を越えて共通性を持ったものもあります。現在も何かを祈るシーンは多く存在しますが、その背景にある文化を意識する機会は多くありません。私たちは今も身の回りにある祈りの「形」を通して、連綿と受け継がれてきた精神性とその背景にある文化を今一度見つめ直してみようと考えました。 プロジェクト内容 古くから祈りと関わりを持つ「形代(かたしろ)」「文様(もんよう)」「山」「酒」をテーマに、リサーチやフィールドワークを行い、最終的に4つのインスタレーション作品を制作します。一連のプロセスは映像で記録し、それらを映像作品としてオンラインで公開します。 また、本プロジェクトでは、宮城大学 DESIGN STUDY CENTERと連動して、祈りにまつわる幅広いトピックについて大学とともにリサーチを深めました。オンラインで公開する映像作品は、宮城大学デザイン研究棟でも順次公開します。 (宮城大学での展示一般公開は今夏予定)
4つのインスタレーション作品 うつし | 人の形をした依り代「形代(かたしろ)」と「茅の輪(ちのわ)くぐり」をモチーフにしたインスタレーション作品。厄を移した「形代流し」や厄払いの世界観をARで体験します。 文様 | 着物や暖簾、手ぬぐい。人々は植物や水、光などの自然から文様を生み出し、身にまとってきました。伝統的な染の技法をモチーフに、体験型のデジタル表現をかけ合わせることで文様のルーツを知り、従来とは違った見方を体感できる作品です。 やまのかけら| 古くから日本では山や森に神が宿るとされていました。フィールドワークで採取した山の石を特殊なスコープで覗くと、その先にさまざまな風景が広がります。山の一部からその神性を想起するインスタレーション作品です。 めぐみ | 酒は酔うことで神に繋がるものとして、古くから祭事で用いられてきました。本作では酒を取り囲むさまざまな生命や信仰を映像表現で描きます。気配を通して見えないものの存在を感じるインスタレーション作品です。
いのりのかたち ▶公式サイト ▶ティザームービー ※各作品は公式サイトにて順次公開。「うつし」「文様」は7月、「やまのかけら」「めぐみ」は8月以降公開予定。 「いのりのかたち」で制作する「うつし」「文様」「やまのかたち」「めぐみ」の4作品は、WOWの25周年展示プロジェクトの一環となります(下記参照)。
映像作品展示 期間:2021年4月23日(金)〜10月29日(金) 場所:宮城大学デザイン研究棟1Fオープンスタディ ※展示一般公開は今夏予定 住所:宮城大学大和キャンパス 宮城県黒川郡大和町学苑1-1 電話番号:022-377-8217
WOW Talk Vol.8 「伝統文化とビジュアルデザインの可能性」
WOWスタッフによるオンライントークイベント「WOW Talk」シリーズ第8回目は、「いのりのかたち」公開にあわせ、プロジェクトメンバーが登壇します。仙台経済新聞編集長の菊地正宏氏を聞き手に迎え、プロジェクト背景、各作品のフィールドワークなど、プロジェクトの裏側をお話します。 WOW Talk Vol.8 「伝統文化とビジュアルデザインの可能性」 日時:2021年6月25日(金)19:00〜21:00 配信:WOW YouTube ChannelからLive配信 ※URLは後日SNSにて告知 ※WOW YouTube Channelはコチラ 登壇者:Executive Director 工藤薫、Director 高平大輔、Technical Director 佐藤宏樹、Producer 稲垣拓也 聞き手:菊地正宏(仙台経済新聞編集長)
WOW 25th Anniversary Project
2022年、WOWは25周年を迎えます。20周年時は「WOWの過去/現在/未来」を見つめた回顧展を行いましたが、25周年が視野に入ってきた昨年、コロナ禍という未曾有の事態により、当たり前のように享受していた日常と予見していた未来が遠いものとなりました。WOWはどのように時代と向き合うべきなのか—。既存の様式と選択肢を見直し、自問と内省を繰り返した一年から、25周年とその先へ目指します。 WOWらしい活路を切り拓くビジュアルデザインを探求し、「これからのWOW」をテーマにした展示プロジェクトが、若手デザイナー達を中心に動き始めます。今回公開となった「いのりのかたち(全4作品)」を皮切りに、制作・発表する作品を展示予定です。さらに先へ飛躍するために、自身のルーツ、表現、技術を見つめ、25年目に向け歩み続ける軌跡に、ぜひご刮目ください。
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